(高知市)平田病院Revival Plan

建築場所:高知県高知市
主要用途:病院
工事種別:耐震補修工事+改修工事
延べ面積:3474.71u
建築物の構造:RC造
建築物の階数:地下1階、地上5階、塔屋1階
竣工:2011年12月下旬

今回お送りするレポートは、後藤事務所としては初めてとなる鉄筋コンクリート造の病院の耐震補強工事+改修工事です。
以前、病院の院長宅【高知市本町の家】の設計監理でお世話になったことがきっかけで、依頼を受けました。同じクライアント様と何度もお仕事ができるということは、建築家としてとても嬉しいことです。
<Revival> とは、蘇生する、蘇るとの意味で、怪我や病気を治し蘇らせる病院という施設をも暗示した言葉です。今回、平田病院の耐震・改修工事においても、古くなった施設を適切に手当てする事で、建物全体を蘇らせるための再生計画です。
長年に渡り地元から必要不可欠な病院として存在してきた平田病院。
高知中心部の好立地に、救急告示病院 療養型病床群併設病院として、これからも、高知の人々に身近で必要な病院として存在していく事を期待されています。その為には、今の時代にあった形に変わっていかなければなりません。
イタリアには、レスタウロ(restauro)という言葉があります。日本語に訳すと「改修」を意味しますが、保守的な修復作業の意味ではなく、「歴史的な意味と記憶を積層していく」という積極的な、建築行為を意味します。例えば、中世で築かれた建築物が、ルネッサンス期に立面構成が一変し、バロック期に装飾が施され、ファシズム時代に改変されていく等、建物の基本的な外観や骨組みは変えずに、その時代に求められた内容に建物が、変えられながら、今でも使用され続けています。
『平田病院Revival Plan』では、このイタリアの「restauro」精神で、今までの平田病院の歴史の上に、新しい価値観を積層しながら、改修前と改修後の変化が目に見える形にしていく事を目指します。
今回の改修にあたり、現在の平田病院のマイナスイメージをあえてあげるとするならば、『内部が暗い』、『昔の病院を想像させる配色』、『冷たい色合い』等が考えられます。
これをプラスに転じさせる為には、このマイナスの反対を目指せば良い事になります。
それは、『内部が明るい』、『モダンな配色』、『温かみのある色合い』になります。
そこで、既存建物の内装仕上げの上から、明るくモダンで温かみのある内装仕上げを施工することを提案しました。
『明るくモダンで温かみのある仕上げ』にするために、前述の「restauro」を意識し、後藤事務所が提案したコンセプトは、老若男女から愛され、真夏に人々を癒してくれる存在の【ジェラート】。南国土佐の風土にもマッチして、地域の人々に愛され癒す場である病院の機能にも共通しています。
また、ジェラートの鮮やかでフレッシュな色彩は、訪れる方、入院・療養される方、院内で働くスタッフの気分を明るく元気にさせることができます。そして、ジェラートは、食材により様々な色になり、そのカラーバリエーションも豊富です。
この【イタリアンジェラートカラー】を、内装仕上げに使用します。





<改修前写真> 2010.10.18
平田病院の現状写真です。
どのように生まれ変わるか、乞う御期待を!




外観正面です。








受付待合です。









待合です。








病室廊下です。

   

<工事着工> 2011.3.26
  

本日、工事の安全祈願祭がおこなわれ工事着工しました。
残念ながら、カメラを忘れていったため写真がありません。
普段、私が高知へ行く時は、雨か雪が降るのですが、この日は珍しく晴れのお天気でした。

   



<第1回周知会> 2011.4.12

本日は平田病院の主要なスタッフさんにも参加して頂き、工事の進め方等を説明する周知会を行いました。
各部門からの要望を聞き、工程に反映するとともに、病院側、工事側、設計監理側の3者がお互いを理解するための会です。
「何日まで厨房が使えるのか」
「レセプトの関係で何日までは事務室が使えるようにして欲しい」
など、活発な意見交換ができました。

   



<地下解体工事> 2011.5.12

 




地下の工事部分が解体されています。








粉塵を外に出すためのダクトも設置さ れています。







患者さんやお見舞いに来られた方に対する案内板も設置されています。







今回は、2階建の現場事務所が設置されました。

   

<1階部分の解体> 2011.5.17

1階部分の解体も本格的にスタートしました。
もと受付だった部分や診察室だった部分も以前の面影は無くなりました。
解体業者さんの手際のよさには感心します。

   

<各部署責任者との打合せ> 2011.5.26

本日は、午後1時〜6時すぎまで各部署の責任者と順番に打合せを行いました。
今まで気づいていなかったことや新たな要望などを聞くことができ、かなり充実した打合せでした。
そして、事務家具や置き家具の打合せも行い、具体的な使い方を伺うことが出来ました。

現場の方は、B1F・1Fともに解体も終わり、耐震壁になる部分のアンカー施工が始まっていました。
病院の休診期間をできる限り短くするため、現場は頑張っていました。
下の写真は改修前の看護婦詰所です。

   



<配筋検査、鉄骨検査> 2011.6.2

本日は耐震壁の鉄筋検査を行いました。
現場は着実に一歩ずつ前に向いて進んでいます。
さらに構造設計者と一緒に、鉄骨による特殊な耐震フレームの鉄骨検査を行ってきました。
今まで見た鉄工所の中では、一番大きいという印象です。
建物内に運び込める大きさが決まっているので、分割された状態で製作されていました。
面白い耐震補強になるので乞うご期待!
   

<地下1階と1階の耐震補強> 2011.6.9

地下1階のコンクリート柱には、厚さ12mmの鋼鈑を巻き、見た目もかなり強固になりました。
ボルトが鋼板から飛び出ているのは、コンクリート柱と鋼板との隙間を確保する目的と、 コンクリート柱と鋼板との隙間に無収縮モルタルを注入した時、鋼板が膨れるのを防ぐ目的があります。

1階の耐震補強方法の一つで、大成建設の特許工法【T-Grid】が取り付けられました。
フレームは厚さ25mmの鋼板で、プラス厚さ12mmの鋼鈑が市松模様に取り付けられ、耐震性能を確保しています。頑丈でありながら重く見えない【T-Grid】、素晴らしい工法なので、今回採用しました。
   

<クロスウォールメタルと風除室自動ドア> 2011.6.23

外壁の耐震補強材、クロスウォールメタルが取り付けられていました。
一般的な鉄骨材の補強に比べ、細いので圧迫感があまりありません。







以前の病院には無かった、玄関の風除室を作るための自動ドアが設置されていました。内装の間仕切り壁もほぼ出来ていました。
   




<1階の工事、完成間近> 2011.7.7

1階の工事がほぼ完成に近づきました。
今日は、定例会の後、院長・院長夫人と一緒に現場を見て周りました。昔とイメージが全く変わり、落ち着いた雰囲気にとても喜んで頂きました。

上の写真は耐震壁です。








風除室からみた待合です。



玄関入った正面に掲示板を設けていましたが、掲示物が貼られると良い雰囲気が壊れそう、ということになり、現場監督にお願いして、掲示板を撤去していただくことになりました。
現場は、7月10日の1階部分引渡に向け美装も始まっていました。






診察室も昔とは異なりプライバシーも確保出来、安心して問診が行えると思います。

   








<地下1階・1階・中2階引渡と家具搬入> 2011.7.11

本日、地下1階と1階と中2階の引渡が行われました。
さすが大成建設、お約束通りの日程で、引渡を行うことが出来ました。
そして、7月14日(金)の外来診察再開に向けて、保健所の立ち入り検査も行われ、無事OKを頂くことが出来ました。  
後藤事務所がセレクトした置き家具や
事務家具も搬入されました。  
落ち着いた雰囲気に仕上がり、患者さんはもとよりここで働くスタッフの皆さんももリラックスして過ごすことができるのでは、と思っています。  

(上から順に)
1:地下1階です。 
2:院長室です。
3・4:ホテルの様な落ち着いた色合いの受付・待合スペースです。
5:受付の事務椅子は家具に合う色にしました。
6:カラフルなチェアを置いた中2階のスタッフルームからは、公園の景色が楽しめます。
7:物療室です。これから機器類が運び込まれます。
8:物療室と診察室の待合です。

   



<2階部分耐震補強改修工事スタート> 2011.7.21

2階部分の耐震補強改修工事がスタートしました。
1階部分に勝るとも劣らず、バリバリと解体されています。
どのように甦るか、乞うご期待下さい。
1階厨房の外部に設けた鉄骨の


























耐震補強もきれいに仕上がっていました外壁は、最終的に塗装し直します。
   



<2階部分の解体工事完了> 2011.8.4

2階部分の解体工事がほぼ完了しました耐震壁になる部分の鉄筋組もほぼ終わっています。









以前、トイレだった所を改修後もトイレとして使用するのですが、便器のレイアウトが変わるため配管を 1階の工事の時に立ち上げていました。
   















資材などの搬入は、1階の診察の邪魔にならないよう、2階の窓から搬入しています。

   



<2階の内装下地工事と柱補強周り> 2011.8.11

2階の内装工事は順調に進んでいます。きっと、きれいに生まれ変わることでしょう!  
今回は、外壁に面した柱の補強をしたので、柱に取り付く壁も一部撤去しました。  
改修後、雨漏りしないようにするため、最新の注意が必要です。        













1階部分引渡しのお祝いで、後藤事務所からリーフパネルをプレゼントしました。 木目の壁に緑の葉っぱが似合っていました。
   



<2階部分の引渡に向けて> 2011.9.2

2階内装仕上げもほぼ出来上がりです。


病室の廊下に面した引戸も取り付きました。
テーマカラーの「ピスタチオグリーン」が元気を与えてくれます。







病室内にも「ピスタチオグリーン」のアクセントカラーが室内を明るくします。







ナースステーション(旧看護婦詰所)も明るくなり、新しいナースコールが取り付けられていました。





手術室の準備室に設けた耐震フレームも姿を現しました。

9月12日には2階引渡しと家具が搬入されます。

   




<2階部分の引渡・家具搬入> 2011.9.12

本日、2階部分の引渡を行いました。
改修前に比べ、明るい雰囲気に仕上げることが出来ました。
今日は、新しい機器の取扱説明会も行われました。
ナースコールなど、機能を一新したので慣れるまでは大変だと思いますが、使い勝手は良くなっているので、
慣れれば業務の負担は少しだけ小さくなると思います。
   

<3階部分の解体完了そして間仕切りスタート>
2011.10.6

3階部分の解体がほぼ完了しました。


頑丈につくられていた洗面台も撤去されました。






間仕切りも設置されていました。
3階部分の引き渡しは10月29日の予定です。

   



<3階内装工事と外壁塗り替え> 2011.10.19

3階の内装工事は順調に進んでいます。
3階のテーマカラーは「シチリアレモン」です。鮮やかな黄色が、患者さんを元気にしてくれます。















外壁塗り替えのための足場も組み上がりました。
漏水している箇所の補修を行った後、塗装します。
外観がどのように生まれ変わるのか、乞うご期待!
   



<3階部分引渡し> 2011.10.28

本日、3階部分の引渡しを行いました。
廊下に面した病室の扉もアクセントカラーの『シチリアレモン色』です。改修前と比べて、爽やかな感じになりました。








廊下に面した洗面コーナーも、以前の重厚な造りと異なり、車いすの方でも簡単にアプローチでき、
洗面できるようになりました。






浴室は、以前の寒々しい雰囲気と異なり天井を下げ体積を小さくし照明を明るくすることで、人が使いやすい空間に生まれ変わりました。







外壁の塗り替えも南面は完了し足場が解体され始めていました

   



<4階改修工事スタート> 2011.11.10

4階の改修工事がスタートしました。耐震壁が設置されるのは4階で最後です。
最終引き渡しまで残り1ヶ月半となりました。


























玄関の吹抜けに、後藤がデザインした平田病院のためのオリジナル照明が取り付けられました。
空間に合った照明器具の大きさと設置高さに仕上がりました。
   






<4階内装状況と屋外塔屋看板> 2011.11.24

4階内装工事は順調に進んでいました。4階も明るく仕上がりました。
11/28には、4階引渡しと家具入れを行います。















工事着工前、平田病院スタッフの方々と意見交換させて頂いた部屋も、明るくなりました。
(写真のお二人は事務長と現場監督です。)






屋外の塔屋に書かれていた平田病院の文字も新しいロゴマークと共に、生まれ変わりました。





待合室は、院長夫人自らがクリスマスバージョンに飾り付けされていました。
建物に愛着を持って頂き、自ら飾り付けして頂けることは、設計者にとっても嬉しいことです!














玄関風除室には、院内の案内板も取り付けられました。

   



<4階部分の引渡&家具搬入> 2011.11.28

今日は、4階部分の引渡と、その後、4階部分の家具搬入が行われました。
4階のコンセプトカラーは「マンダリンオレンジ」です。
院長夫人にも気に行って頂けました。スタッフルームは、いままで土足だったのですが、清潔感を保つため、今回は土足禁止としました。
看護師の疲れた体を少しでも回復してもらえるよう、スタッフルーム内にはシャワールームを設けました。
いよいよ、12月22日の最終引渡に向け、工事もラストスパートに入ります。




















看護部長から「4階の更衣室がとても使い易く、スタッフからも好評です!」というお話を伺いました。
更衣室は現場で働くスタッフが気持を入れ替える場所です。喜んで頂けて良かったです。

   

<5階の改修スタート> 2011.12.8

最上階5階部分改修がスタートしました。この階の改修が終われば、全ての改修が終了します。
定例会では引渡に向けた打合せが行われました。








既存の大きな洗面台が撤去されました。車いすの方でも使いやすい洗面台に変わります。

   



<竣工引渡> 2011.12.22

最5階と外部の改修工事も終わり、本日無事、平田病院の耐震補強改修工事が完了しました。
クライアントも施工会社も気持ち良く引渡しを行うことが出来ました。
引渡当日、5階のリハビリ室で患者・スタッフ交えてのクリスマス会が行われていました。
皆様、明るい笑顔で参加されていました。院長も、サンタさんの格好をして、会に参加されていました。

後藤事務所にとって初めての耐震補強改修工事でしたが、クライアントの平田病院スタッフ施工の大成建設みんなが協力し合い無事竣工することができました。
総合定例会は19回行われました。今まで後藤事務所が関わった物件の中では最多かつ最長です。
 今回の実績をもとに、これからも大きな物件を手掛けられるよう頑張っていこうと思いました。